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ASIS Information Vol.10

月刊セキュリティ研究 2005年5月号掲載

ASISインターナショナル日本支部 副支部長

徳田 和人

ASISインターナショナルの会員と活動について

ASISインターナショナルに入会して今年で14年になります。セキュリティ関連の警備業界で仕事をしている私にとって、「安全」に関する情報収集は、大切な業務のひとつです。しかし一言で「安全」といっても、それに関係する業種は多方面にわたり、その全てから独自に知識を得ようとしても、それは不可能に近いでしょう。

また、同業者間の情報には限りと偏りがあり、「安全」について、バランス良く考えていくためには、色々な業種の方々と交流することが非常に有益です。ASISには「防犯」、「防火」、「防災」といった、人命や財産をいかに守るかについての技術と知識を備えた企業や専門家が、会員として多数在籍しています。会員にはASISインターナショナル米国本部から毎月発信される会報やホームページにより安全に関する情報が提供されています。また日本支部では、支部独自の研修プログラムにより、会員の知識と技術の向上をお手伝いしています。

春と秋の年2回実施される研修会は、一方は各方面のセキュリティ専門家を招いての講演会や新防犯機器の室内デモンストレーションなどの座学、もう一方は「安全」の最前線を会員一人一人が直接体験できる実地見学という形を基本にして実施されています。また、年に一度開かれる米本国の大会(開催地は毎回変わります)では、数多くのセキュリティ関連企業が参加する展示会が数日間にわたり開催され、同時に「安全」に関するセミナーも各種開催されています。これらセミナーは、事前予約ですでに満席になる講座も多くあるほどの人気です。過去に私が参加したラスベガスでの大会では、カジノ施設のセキュリティ研修が実施されました。カジノ内で起こる色々な手口の犯罪について実際の映像を見ながら、セキュリティ担当者からの解説を聴くことは、不特定多数の来場者が出入りする施設の安全管理を考える上で、大変参考になりました。

また国内の研修においても、その研修内容はもちろん、会場でお会いする、多くの会員のみなさんとの交流を通じて、毎回新しい情報や業務へのヒントを得ることができます。これからも「安全」をキーワードに、最先端の技術と知識を身近に感じていられる様な活動が計画されていくことでしょう。

警備業に関する法制度

私は警備業界で仕事をしていますので、警備業とはどのような業種で、どのような業務や制度、規制があるのか、少しご紹介することにしましょう。

警備業者の数は全国で約9,100社、警備員数は約46万人です。警備業務は、専門の訓練を受けた警備員が、各種の警備用機器を用いて、依頼者の生命、身体、財産を危険から守ることを目的として実施されています。その警備対象は多岐にわたり、オフィスビル、マンション、住宅、ショッピングセンターはもとより、原子力発電所、空港、駅などの重要施設でも、民間の警備員による警備が実施されています。警備業を営むには、公安委員会の「認定」を受けることが条件になっています。認定には当該会社役員に対する欠格要件があり、これに抵触する者は警備会社の役員にはなれません。警備業務を発注する際には、認定の有無を確認されることをお勧めします。

実際に警備業務を実施するには、事務所ごとに「警備員指導教育責任者」という、公安委員会が行う試験に合格した資格者を選任しなければならないことになっています。この警備員指導教育責任者は、自社の警備員に対する、警備技能、知識の指導と教育および経営者に対する助言などを主な業務としています。警備業には「警備業法」という、この業種に対する特別な法律が適用されています。前述の認定や警備員指導教育責任者の制度も、この法律により細かく規定されています。このほか警備業法には、警備員の制服に関する事項や受傷事故防止のための護身用具についても、使用制限などの規定があります。一例を挙げると、警備員は警察官や海上保安官と類似した制服を着用して業務についてはいけないことになっています。またもっぱら護身のためであっても、バットや木刀、スタンガン、催涙スプレーなどを所持して警備を行ってはいけない決まりになっています。外国の警備員は拳銃を所持して警戒しているような印象がありますが、実際は禁止のところが多く、許可されている国であっても、特別の訓練を別に受けた後でなければ所持はできません。もちろん日本でも例外なく所持禁止です。

これ以外にも、警備業務を適正に実施する上で必要な事項について、いろいろな親定があります。従来から、警備員の資質向上のために、警備員の検定制度があり、警備対象の種別に応じて、空港保安警備、常駐警備、交通誘導警備、核燃料物質等運搬警備、貴重品運搬警備の検定試験が全国で実施されています。それぞれに一級二級の別があります。その内容は実技と学科に分かれ、警備業法、憲法、刑法、刑事訴訟法、道路交通法、遺失物法などの警備業務関係法令や警備業務実施上の専門知識と、侵入・火災センサーや無線機、消火栓、自動火災報知設備などの警備業務支援機器の操作や、応急救護、警戒棒操法、輸送警戒方法、交通誘導方法などに関する技能が試されます。また機械警備業務には、機械警備装置の運用監督や指令業務の統制を行う、専門知識がある「機械警備業務管理者」という資格者を、基地局ごとに選任しておく必要があります。

これからの警備業

昭和47年に制定された警備業法が、昨年大幅に改正され、いま警備業界は新たな一歩を踏み出したところだということができます。主な改正点は次の通りです、いままで法的な義務がなかった警備員の配置について、空港、原子力発電所、高速道路、大規模な雑踏警備、核燃料の運搬警備などに従事する警備員には、資格者を配置しなければならなくなります。警備業務契約にあたっては、事前に必ず書面を交付し、かつ口頭での説明も必要になります。

苦情に関する対応の整備が求められます。いままで業務区別のなかった指導教育責任者制度も、より専門的で、より充実した指導教育が行えるようにするため、各業務別に資格を取得した責任者を選任するよう改められます。これらを通じて、国、地方公共団体、各企業や個人の方々が警備業者を選定する際に、より適正な業者を選定できるようになります。今後警備業務は、さらに新たな分野においても実施されるようになっていくでしよう。中でも、違法駐車車両の確認業務、刑務所管理業務、改正SOLAS条約に基づく港湾警備、学校保安警備の可能性については、いま警備業界で注目されている項目の一つです。近年各所で普及が著しい防犯カメラと同じく、新しい警備対象を警戒する、有資格警備員の活躍する姿が、今後随所で見られるようになるでしょう。


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